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「La Boheme」と「RENT」(3)
しばらく間があいてしまいましたが、「La Boheme」と「RENT」の最終回です。今回は「La Boheme」第3幕と第4幕についてです。「RENT」では第二幕にあたる部分です。

◆過去記事
「La Boheme」と「RENT」(1) 第一幕
「La Boheme」と「RENT」(2) 第二幕
これにとりかかるにあたり、「RENT」の第二幕の曲を通して聞いてみました。そして思ったのは、「RENT」の第一幕は「La Boheme」の第一、第二幕と共通点が多いのですが、第二幕は最後の方の(「Goodby Love」以降の)エピソードが共通しているくらいで、家賃が払えなくて締め出されたり、エンジェルの死やマークの苦悩など、独自のエピソードが書き加えられているということです。

第三幕
小雪の降る2月のある朝、パリの町はずれのアンフェール関税徴収所のあたりに色んな人が通る。清掃夫、牛乳売りの女たち、馬車引きたち・・・。
RENTにはないシーン。

そこにミミがやってきます。マルチェッロとムゼッタが働いている酒場を探しています。マルチェッロが看板書きを、ムゼッタは客たちに歌を教えています。ミミはようやくその店をみつけ、中から出てきた人にマルチェッロを呼んでもらいます。そして一緒に住んでいたロドルフォが嫉妬で怒り、他の恋人を探せと言って出て行ってしまったと相談します。
RENTでは、しいてあげれば「Goodby Love」の前半にあたるでしょうか。ロジャーはギターを売ってサンタ・フェに行くと言い、ミミは自分と向き合おうとしないロジャーを批判します。マークが仲裁に入ってもおさまりません。

咳き込んでいるミミを帰らせ、マルチェッロが店から出てきたロドルフォと話します。はじめは「ミミは浮気者」などと言っているロドルフォですが、マルチェッロは本心でないと見抜いて追求。ついに、本当はミミを愛しているけれど、ミミは結核で死が近づいており、自分は貧乏で家は寒いし、愛だけでは彼女を助けられないと、ロドルフォが本心を語ります。それを物陰から見ていたミミが、「私は死ぬの?」と驚き、ロドルフォに別れを告げます。そのころ、酒場にもどったマルチェッロは客と親しくしているムゼッタとケンカに。そして二組の恋人たちは別れることになります。
RENTにも似たシーンがありますが、ミミの死をおそれているところは同じですが、ロジャーはミミを愛しているとははっきり口にしないし、愛するがゆえに身を引くというニュアンスがわかりづらくなっています。でもロジャーが身を引けばベニーの世話になれることは明らかだし、実際ベニーもこのあとのシーンで援助を申し出ていますが。(RENTでは「Goodby Love」の後半にあたる)


第4幕
ロドルフォとマルチェッロの部屋。ロドルフォはムゼッタが、マルチェッロはミミが、着飾って馬車に乗っている姿をみたと話し合います。ふたりとも恋人への未練が断ち切れません。そこへショナールとコルリーネが差し入れを持ってやってきます。そして4人は王侯貴族を気取ってふざけ合います。
RENTではこの時点でショナールにあたるエンジェルは亡くなっているので、やってくるのはトム・コリンズだけ。

そこにムゼッタが駆け込んできます。「ミミが!」パトロンである子爵の息子のもとから逃げ出して、死にそうになりながら道を歩いていたミミをムゼッタがみつけて連れてきたのです。ミミは寒がり、「マフがあったら」と言います。ムゼッタは自分のイヤリングを外してマルチェッロに渡し、薬と医者の手配を頼み、自分は家にマフを取りに行きます。コルリーネは自分の外套を売ることにして、ショナールにも気を利かせるよう促して一緒に出ていきます。
RENTでは、モーリーンがミミを連れてくるところは一緒ですが、寒がるミミに上着を着せかけてやり、コリンズが救急車を呼ぶために電話をしますが、誰もその場を離れません。

みんながいなくなると、ミミはやっとふたりきりになれたと喜びます。寝たふりをしていたのだと。ロドルフォは疲れるからしゃべらないでと言いますが、互いに愛を語り、出会いの日の思い出を語ります。しかしミミの病状は悪化します。みんなが戻ってきて、ムゼッタがマフを持ってきてミミに渡すと、それをロドルフォの贈りものだと思ったミミが「あなたが?」と聞きます。ムゼッタが即座に「そうよ」と答え、ロドルフォは泣き出します。ミミの異変に真っ先に気づくのがショナールです。先日の演出では、ミミの片手がマフから下に落ち、ショナールが手を取ってマフに入れてあげるのですが、またすとんと落ち、ミミが死んだことを知ります。それをマルチェッロに知らせ、そのあとロジャーがミミの死を知ります。ミミに取りすがって泣くロドルフォ。そこで幕がおります。
RENTでは、コリンズは外套を売りには行きません。映画版では大柄なコリンズの外套をミミに着せかけていましたね。エンジェルが買ってくれた外套というところに意味があるのだろうと思いました。だからこそ、「La Boheme」にはない、ミミの復活があるのではと。
ですが、2006年の来日公演(Amy Hensberry演出)では、確かモーリーンが上着を脱いでミミの枕にして、マークの上着をミミに着せかけていたと思います。(ここが気になってよく見たつもりなのですが、それから時間が経って記憶が不確かになっていますが。)ブロードウェイのオリジナルの演出はどうなのでしょう?
RENTではこのあと、だらんと垂れ下がったミミの手が動き、そしてミミが生き返ります。先日のオペラでマフからぽとりと落ちる手を見て、RENTのそのシーンを思い出して、ミミのよみがえりに期待してしまいました。でも「La Boheme」のミミは生き返らないのです。

「La Boheme」をもとにして作られた「RENT」ですが、若き芸術家たちの愛と死の物語をさらに発展させて、さまざまな社会問題を織り込んで、それぞれが今を生きる大切さを強く訴えるものになっています。「La Boheme」の時代には結核が死につながる病であったように、「RENT」ができた頃はAIDSも死の病でした。でも、ジョナサン・ラーソンはその悲劇性だけでなく、ライフサポートミーティングの場面を入れるなど、目前に迫る死と向き合いながらどう生きるかということも伝えたかったのでしょう。そのジョナサンが「RENT」の完成と同時に亡くなってしまったことは残念なことですが、彼の思いはこの作品を通して語り継がれていくのだと思います。

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◆「RENT」関連リンク
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【2007/03/07 01:01 】 | RENT(Broadway) | コメント(2) | トラックバック(0) | page top↑
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コメント

今回もわかりやすい解説ありがとうございます。ただ個人的に一つ気になった事が・・・

>ブロードウェイのオリジナルの演出はどうなのでしょう?
どうなんでしょう?つい先月見たのに思い出せない?それともちゃんと見ていない?かなり凹みます。う~ん、今からじっくり思い出してみます。

【2007/03/09 00:24】 | URL | ami #-[ 編集] | page top↑

amiさん
>どうなんでしょう?つい先月見たのに思い出せない?
あはは。こんな細かいところを見てる人なんていないですよね(笑)

これをみると、コリンズの茶色いコートに見えるし、
http://www.youtube.com/watch?v=ROfyZ4rNVQI

こちらではコリンズが脱いで着せかけてますね。
http://www.youtube.com/watch?v=65RQ6qr9ftI

ただ、これらの出所がよくわからないので、ブロードウェイ版演出と思っていいのかどうなのか・・・。

【2007/03/09 01:08】 | URL | himika #-[ 編集] | page top↑
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